ブックタイトルあーしあん12月号296

ページ
2/8

このページは あーしあん12月号296 の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

あーしあん12月号296

2 近頃「食の記憶」という言葉を耳にすることがよくある。私にとってのそれは子どもの頃、早い日暮れにあわてて帰宅し悴んだ手で玄関を開けた時や少し成長し心がちょっとだけささくれていた中学生の頃、家に入ったとたんに私をふわっと包んだ湯気の香りと共にある。煮干しのだしの中で具材が煮える匂いは今流行りのアロマにはかなわない癒しと安心感をあたえてくれた。そこへ大きな木樽で仕込んでいた家味噌を溶けば「お母さんのお味噌汁」の完成だ。温かなお味噌汁を家族で食べる、そんな何気ない記憶は今の私が食を大切にすることの原点だ。 上の娘が中学生の頃、思春期の女子たちによくある陰険な出来事があった。群れることを好まない娘にとって、学校は居心地の良い場所ではなかった時期があった。それは「ただいま」の声やドサッというカバンを置く音から察することができた。心配して声をかけても「大丈夫」と小さな声で答えるだけでちっとも大丈夫ではない心の内が痛かった。そんな時でもいつものように温かな食事を食べさせることが親にできる応援だった。ある晩お味噌汁を一口すすった娘が「ああ美味しい」と安堵したようにつぶやいた。いつもとかわらないお味噌汁であり具材も何だったかも思い出せないが、あの時の娘のほっとした表情と「美味しい」の声は今も忘れない。そしてその時確信した。「この子は大丈夫。ちゃんと家でごはんを食べていれば」と。 お味噌汁は下の娘が重度のおたふく風邪にかかりほとんど何も喉を通らない時もその威力を発揮した。だし汁にたっぷりの野菜を煮込み最後に味噌。その汁だけを、少しずつスプーンで口の中に流してあげた。免疫力を上げる発酵の力と野菜の滋味、ほどよい塩分。2倍に膨れた顔が、医師も驚くほど早く元に戻ったのはお味噌汁の力だと勝手に信じている。 ほぼ毎日作るお味噌汁だが、泊まりの出張や忙しさで作れない場合がある。そんな時に便利なのが以前テーマ活動「お米を食べよう!」の学習会で作ったみそ玉だ。これを作って冷蔵庫に入れておけば、いつでもお湯を注ぐだけでお味噌汁が出来るので私がいなくても「なんちゃって母の味」が出来る。 我が家では数年前から味噌を手作りしている。年を越し寒さが厳しくなり節分豆が売られ始める頃、味噌を仕込まねばとそわそわし始めるだろう。毎回家族を思いながら味噌作りをする母の想いは、娘たちに伝わるだろうか。30年後の未来へ行って娘たちに聞いてみたい。「食の記憶はなんですか?」と。お母さんのお味噌汁理事だより常任理事 梅原 隆子◆第19回定例理事会報告(2016年10月27日開催)全議案、可決・承認されました◆協議事項西桂センターにおけるフードドライブ運動の実験展開について◆特別報告①2016年度事業活動報告上半期まとめについて②手数料プロモーション見直しについて※約10個分、味噌の塩分で入れる量を加減して下さい。味噌…90g和風だしの素(パルシステム)…1本【プレーン】ごま…3g乾燥わかめ…3gかつおぶし…1パック(約4グラム)【チーズ】シュレッドチーズ…20gクルトン(食パンの耳をからいりしたもの)…5gオリーブ油…小さじ1材料を良く混ぜて10等分し、一杯分ずつラップで丸めて出来上がり!材 料作り方POINTねぎ等の乾燥野菜を入れても美味しいですよ。具材はできるだけ水分のないものが良いです。分量は参考という意味で全て適宜、量の決まりはありません。冷蔵庫で5日位保存できますが、なるべく早めにどうぞ!~みそ玉レシピ~