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概要

あーしあん368

3納豆菌と醤油 大豆を原料に微生物で発酵させる納豆と醤油。醤油づくりの最初に活躍してくれる微生物は麹菌。その麹菌よりも納豆菌の方が強いので、納豆菌の繁殖に麹菌は負けてしまいます。そのため、麹づくりをする時は納豆菌が入りこまないように、納豆菌が活躍しやすい高温にならないように温度管理(30~32℃)を徹底しています。麹菌づくり期間に食事で納豆を食べた場合はシャワーを浴び、着替えてから作業に取りかかります。井筒屋?油は丸大豆を使った天然醸造です。 ?油市場に出されている80%の醤油は脱脂加工大豆で、残りの20%が丸大豆で醸造された醤油となります。 また、天然醸造醤油とはJAS法の品質表示基準では、天然や自然という用語をラベルに使用することを原則禁止していますが、次の3つの条件を満たす場合に限り天然醸造の表示を許可しています。1.本醸造の製法によってつくられている2.酵素の添加など、醸造の促進を行っていない3.食品添加物を使用していない このように、国産丸大豆の天然醸造醤油はひと手間もふた手間も手をかけられた特別なものなのです。 脱脂加工大豆でつくる醤油はコストが安く、分解効率が良いことで普及しましたが、「井筒屋?油」には、そこにはない価値があるはずです。地域と共に 圧搾後の大豆の搾りかすはキープ協会(北杜市)が引き取り、牛の糞尿と混ぜ堆肥化しています。また、北杜市や韮崎市の小学生の工場見学の受け入れを行っています。仕込みの道具や醤油の香りに子どもたちは興味津々です。韮崎市内の小中学校の給食には、「井筒屋?油」の醤油が使われています。子どもの頃の経験や味は記憶に残るので大事な機会と捉えています。?油を通して人・地域とのつながりが結ばれているのです。伝統産業を守るということ 何故、伝統産業を守り続けているのかという率直な質問に「意地のようなものもあります。」という当主の答えには決意のようなものが感じられました。 和食に欠かせない?油ですが、原料である大豆は輸入に頼り過ぎるあまりに食料自給率や遺伝子組み換え、ゲノム編集等様々な問題を抱えています。 伝統産業を守ることは食を守ることにも通じ、人や地域でつくっていくものと感じます。この価値を知り、食べることが私たち消費者に出来ることなら応援しませんか。これから先も「井筒屋?油」が守り続けてきた伝統の灯が消えることがないように。丸大豆脱脂加工大豆丸大豆から油分を取り除いたもの。取り除いた大豆油は食用油として利用されます。加工がしやすく安価なため日本の醤油の原料の主流となっています。大豆油抽出にヘキサンという溶剤が使われることから避ける消費者もいます。脱脂加工大豆とは?――井筒屋醤油が醸造する醤油の特徴は? 初代から一貫した工程を継承することによって、舌触り、香りが違う醤油づくりをしてきました。かけ?油にしていただくことにより、その特徴が際立ちますので、一度ご賞味ください。――伝統を守っていく上での苦労は? 醤油は、ごくごく飲むものではないので、消費が減っているという点が苦労かもしれません。減塩という言葉がひとり歩きしている所もありますので、適量で美味しく食べていただけるとありがたいです。4代目当主山寺 英一郎 氏