今週のうまい甲斐(8月3回)
今週のうまい甲斐(8月3回)
2018.8.04
生産者と消費者の対等な関係から生まれるもの
数ある今年のニュースの中で、米朝首脳会議もひとつの注目を浴びました。内容はともかくとして、なぜこれほどまでに両国の首脳が作戦を練りながらも対話することを切望したのか?と考えたとき、やはりどんなに情報手段があったとしても、多くの場面で“会って話す”コミュニケーションが大事だと考えらえていることがわかります。生産者と消費者も「高く売りたい」「安く買いたい」という相反する関係性にあり、お互いの主張を通せば、永遠に交わることがないはずですが、産直4原則にいち早く「産地交流」を掲げ、また「生産者消費者協議会(以下、生消協)」を作り、対等な立場で話し合い、交流を深め、協働して築き上げてきたからこそ、産直を維持できているのではないか?と思うところもあります。
例えば、一般的に売られている生産者のシールが張ってある農作物を購入したとして、生産者の顔はわかりますが、その生産者がどんな人なのか?どんな栽培をしていて、どんな苦労をしているのか?まで読み取れることはありません。さらに、生産者側の立場にたったとして、農薬をギリギリまで削減して苦労して作ったのに売れ残り、市場で売られている海外の慣行栽培作物が安さで売り切れていたとしたら、たぶんバカバカしくて辞めたくなってしまうと思うのです。産地に行く、または身近なイベントを通して率直な意見交換をすることは、どんなに未来が発達しても変えてはいけないことだと思います。
かつて、産直を構築していく過程で、無農薬栽培を模索していたころ、キャベツが虫食いだらけで「レースのカーテンのようだ」とクレームがあった中でも、お願いして作ってもらったのだから買いましょうという風潮があったそうですが、生産者を知らなかったら、そのキャベツを買っていたのかどうか…。生産者も買ってくれる人がいなかったら、農薬削減にチャレンジしてこれたかどうか…。
購入のあり方が多様化している中で、もう一度、原点に戻って、私たちの食べ物をどう作っていくかを対話を通して考える機会にしたいと思います。
ジョイファーム小田原と産直取引の中で
生協がだんだん大きくなるにつれて、われわれもこれは大変だ、どうする、オレ達もでかくなるしかないと、仲間を増やしました。とはいっても正直、石けん運動や水の環境を守るということでは仲間は増えない。“収入が安定するからやらないか”と、これが入り口ですよね。当時、長谷川社長の言葉を借りれば、生協へ5年出せばわかるって。たしかに5年ほど産直をすると経営が安定する、その中で農薬をもっと減らそうなどと本物の意欲が出るんです。首都圏コープ(パルシステムの前身)に生消協があることが他の生協との大きな差になっていることは間違いないと思います。組合員や職員が産地に来てくれることはやはりうれしい。来てもらって、“商品買ってますよ”と言われるともっと嬉しい。さらに産地間で他の産地と知り合うことでとても刺激にもなっています。最初は米沢郷の伊藤幸吉さんのグループなど他の産地の人が雲の上の人のように見えた。無茶々園も愛媛のあの地域では欠かせない存在になっている。愛媛の農協は愛媛みかんのブランドを創ったけれど、無茶々園はその上を行くブランドになった、すごいと思います。
(OPENまいんど 2003年産直産地インタビューシリーズより抜粋)
②体感する交流
作り手は食べる人の想いを聞き、食べる人は作り手の想いを聞き、お互いの気持ちに想い巡らせる、そんなつながりを大切にしています。農業は作ることから、食べることまで全て“人”がいて成り立っています。 人と人の想いが繋がることにより、本物の“産直“となるはずです。