国産・産直・環境にこだわり、安心・安全の食材をお届けします。
サン・ファーム(2024年度)
■ 開催日
2024年7月17日(水)
■ 開催形式
オンライン
■ 監査品目
エコ・りんご(ふじ)
産地概要
産地の特徴
サン・ファームは長野県の北信地帯、標高約330mのエリアに位置し内陸性気候(冬は寒冷、夏は冷涼)で、年間降水量が1,000mm前後と全国的にも少ない地域となっている。秋期の温度の日隔差も大きいため、落葉果樹の栽培に適しています。
沿革
1983年
長野県中野市産直グループに生産者として加入。
1992年
GPS(現パルシステム連合会)とのりんご取引の開始
2003年
3産地(アップルファームさみず・青木農園・サン・ファーム)で北信濃リンゴ会議設立
2019年
台風19号により長野市長沼地区並びに生産者に甚大な被害発生
メンバー構成と生産物
- 8家族10名の生産者が所属(次年度1名若手生産者が加入予定)
- ふじ・つがる・紅玉・秋映・シナノリップ・千秋・王林・シナノゴールド・名月・シナノドルチェ
産地理念
サン・ファームは果樹栽培の先進地信州で「くだもの」生産を行うにあたり、安全面ではより合成農薬の使用を抑え、「味本位」による品質の向上のため、有機質肥料を使い、自然環境にやさしい栽培を考えながら、安心でおいしい信用される「くだもの」を生産し、地域にも消費者にも信頼される農業を目指します。
監査所見
産地理念/事業方針
- 化学合成農薬の使用を抑え、有機質肥料を使用して安全で自然環境にやさしい栽培に取り組むことが明記され、生産者の方々のお話からもその姿勢は感じる事が出来た。
- 化学合成農薬の使用を抑える代わりに天然由来の農薬を使用し、さらに品質向上のため有機肥料を使用するなど単なる販売だけでなく、安心安全、自然に優しい栽培をめざした基本理念を確認できた。またパルシステムの理念と産直4原則に合致している事を確認できた。
組織・意思決定
- 総会の議事録には内容が詳しく記載されている、活動方針と活動報告、協定書等からも「環境保全型・資源循環型農業の推進」が確認できた。
- プレゼン資料の中の組織図には役割分担が明記され、各生産者が自分の役割をしっかりと認識した上で責務を果たしている事が確認できた。
- 勉強会や研修会を実施し、会員同士こまめな情報交換を行って、栽培方法や農薬の知識などを時代に合わせてアップデートしながら、持続可能な農業とりんごの品質向上に努めていらっしゃることがわかりました。
栽培基準
- 薬品会社立ち合いのもと、病気に対してどの薬品が適しているかなどを、確認しながら決められており、化学合成農薬の使用が県の慣行栽培基準35回に対しパルシステムのエコ・チャレンジ基準17回であることを確認しました。
- 栽培する際の手順やルールがきちんと文書化され栽培管理していることも確認しました。防除記録も丁寧に記載され、パルシステムのF-NETに記録されていた。
実践内容
- 栽培記録のデータに基づき、F-NET上で管理されており新エコ基準判定は「適正」で、エコ・チャレンジの基準をクリアしていることから、化学合成農薬や化学肥料の使用を制限し、環境保全型農業を確立されていることがわかりました。
- 圃場の視察では、農薬の使用回数を減らすためフェロモントラップを使用されたり、腐乱病の応急処置として幹にシートが巻いてある様子などを確認、化学合成農薬の代わりに有機資材や天敵を活用したり、除草剤を使わないよう草生栽培に取り組んでいる事を確認しました。
- 農薬の保管庫はしっかりと施錠され、空になった薬品の容器は回収してもらうことを確認しました。
表示・出荷
- 出荷場は清潔に保たれ、選果や軽量の様子を見ることができました。
- 暑い時期の収穫後はりんごを冷蔵庫に保管する、黄色系品種はりんごに傷がつかないようにネットキャップを使用して出荷するなど、品質保持に努めていることがわかりました。
- 出荷する個数に誤りがないよう、二重チェックも行っているとのことです。収穫時の鮮度や品質を保ったまま組合員のもとに届くよう、細心の注意を払って栽培から出荷まで行われていることがしっかり確認できました。
- きず等のクレームが組合員から寄せられた際には、写真入りのクレーム情報が、生産者同士情報共有され、品質向上に努めています。
その他
- 新規就農者支援について、地域おこし団体により、三年間の修行期間を設け、りんご栽培のノウハウを学ぶこと、エスエスや農機具の貸し出しをされていて、全て一から購入するとなると、莫大な費用がかかるが、就農される方のサポート体制ができていることが、非常に良いと感じました。
- 防除会議を行い、助言をもらいながら、勉強していること、現状把握をしていることが良いと感じました。
- 剪定した枝はチッパーで粉砕して園地の土壌に戻すなど、環境に配慮した取り組みを実践しています。チッパーは共同購入する、農機具はできる限りシェアするなど、個人の負担軽減にも取り組まれています。
産地受け止め
- 今回の監査では大きな指摘はありませんでしたが、ご意見として承った剪定枝の炭素貯留等これからの生産に必要な視点として受け止め考えていきたいと思います。
- そして今後もパルシステムと共に考え・悩みながら共に歩み、より良いリンゴを届けていきたいと思っています。
- また、本公開確認会を通じ、監査員の皆様から頂いた言葉は“励まし”の言葉だと感じています。温暖化などの環境が変わる中ですが、現在の栽培(エコ)を最低ラインだと考え「無理・出来ない」と決めつけずに立ち止まらずチャレンジを続け前に進んで行きたいと考えています。