パルシステム山梨

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意見「組織犯罪処罰法改正に反対します」を首相へ提出 罪のない市民の権利が侵されかねません

2017.5.18お知らせ

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

生活協同組合パルシステム山梨

代表理事 理事長  白川 恵子

 

組織犯罪処罰法改正に反対します

罪のない市民の権利が侵されかねません

 

 私たち、生活協同組合パルシステム山梨は、登録48,000名を超える組合員により、事業・運動を展開する生活協同組合です。産直をはじめとする事業と運動を通じて消費と生産をつなぎ、資源循環と持続可能性を追求しています。また、利用する組合員が自ら組織に出資し、運営に参加するという協同組合の精神に則り、民主主義や基本的人権を尊重し、不平等や差別のない相互が助け合う地域社会の実現を目指して活動しています。

 

 「組織犯罪処罰法」改正案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)が現在、国会で審議されています。上記の立場から私たちパルシステム山梨は、本法案が、罪のない一般市民のくらしに深刻な影響をおよぼしかねないことに強く懸念し、可決成立に反対します。その理由は以下の3点です。

 

1.基本的人権が担保されません

 本法案では、組織犯罪の計画合意から準備行為に至る場合を処罰要件とする、いわゆる「共謀罪」が盛り込まれました。適用対象の犯罪には会社法、労働基準法、著作権法などテロとの関係性が明確になっていないものが含まれ、一般市民が対象となる可能性を排除していません。国会審議等では「一般市民は捜査対象にならない」との答弁を繰り返していますが、その運用については「捜査機関が個別に判断する」にとどめています。

 

 これではひとつの判断が、日本国憲法で保障される思想・良心の自由など、国民の基本的人権を侵す結果につながりかねません。本法案には、捜査機関の誤った判断で一般市民が深刻な影響を被り、国民の基本的人権が侵される可能性があります。

 

2.萎縮を生む監視強化社会につながります

 「共謀罪」は計画段階を罪に問うという点で犯罪行為に着手した時点で処罰の対象とする刑事法の原則を大きく転換するものです。政府はその目的を、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたテロ対策とし、「国際組織犯罪防止条約を締結するために必要」と訴えていますが、一方で捜査機関の権限拡大による国民への監視強化が危惧されます。

 

 岐阜県では2014年、風力発電施設建設をめぐり反対する住民の個人情報が県警から電力会社へ提供されました。2016年には、参院選挙直前に大分県警が野党の支援団体が入る施設の敷地内にビデオを設置し、問題となりました。以上のような事例が発生するなかで本法案が成立すれば、国民のプライバシー侵害や社会の萎縮につながりかねません。

 

3.国民的議論となるまでの理解が深まっていません

 マスメディア各社が3月から4月に実施した本法案への世論調査では、調査によって「賛成」の割合が最高で58%、最低35%と、大きなばらつきがみられました。その原因について「法案の呼称など質問文の違いが、回答に影響している可能性がある」と分析する指摘があります。これは、本法案の賛否を判断するために十分な情報が、国民に提供されていないことに起因するといえます。

 

 本法案は、十分な国民議論と国会審議が尽くされないまま衆議院を通過しようとしています。国民のくらしに大きな影響を与えかねない法改正には、慎重な姿勢が必要です。政府の丁寧な説明はもとより国民の幅広い声に耳を傾け、国民的議論としていくことが不可欠です。

 

 通信傍受法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)は2000年、捜査機関による制度乱用や冤(えん)罪を懸念する指摘が相次ぎ、それらの意見を反映したなかで施行されました。しかし、傍受対象を拡大する改正案は2016年12月、大きな議論もないまま成立しました。本法案については、憲法が定める国民の権利が侵されないよう、幅広く、かつ、慎重な議論を強く求めます。

以上