うなぎの資源と食文化を守り続ける

日本の食文化として親しまれてきた「うなぎ」ですが、ニホンウナギの漁獲量は近年減少しており、2013年には絶滅危惧種に指定されました。

 

ニホンウナギの減少の要因としては、

  1. 温暖化などによる海洋環境の変化
  2. 過剰な消費
  3. 河川や沿岸域の環境悪化――などが指摘されていますが、詳しいことは明らかになっていません。海から川まで幅広い環境でくらすニホンウナギの資源を守るためには、うなぎのすむ環境の再生や、持続可能な消費につながる資源管理に社会全体で取り組むことが必要です。

 

絶滅危惧種への指定を受けて、組合員からは「このままうなぎを食べ続けていいのか」という声もあがりました。そうした声を受けてパルシステムは、組合員や産直産地・大隅地区養まん漁業協同組合(鹿児島県)と議論を重ね、うなぎを「食べながら守る」ための取り組みを進めることにしました。ニホンウナギの絶滅を防ぐとともに、うなぎの食文化を継承し、資源回復に真剣に取り組む産直産地を支えていくことをめざしています。

 

パルシステムは2013年から、商品利用やポイントカンパで生まれた支援金を積み立て、産地とともに設立した「大隅うなぎ資源回復協議会」を通して資源回復活動に活用しています。生産者や研究者と連携した調査研究やうなぎの現状に関する情報発信に取り組むほか、うなぎの資源を大切に利用するため大きく育てたうなぎの商品化も始めています。パルシステムではこれからも資源回復の取り組みを模索し、うなぎの現状や、うなぎを守っていくために必要なことについて、組合員や社会への提案を続けていきます。

 

 

 

 

 

 

植樹活動で豊かな森と海を育む

豊かな森は腐葉土から流れ出る成分によって、海の生きもののエサとなる植物プランクトンを育み、やがて豊かな海へとつながります。『コア・フード野付のほたて』の産直産地・野付漁業協同組合(北海道)の周辺では、約30年前、農地開発などにより森が減少してしまった時期がありました。

 

森を守るために立ち上がったのは、野付漁業協同組合の女性部。1988年に植樹活動が開始され、2000年にはパルシステムも取り組みに賛同し、「海を守るふーどの森づくり野付植樹協議会」が発足しました。2016年度までに、組合員とともに累計8901本を植樹。野付産商品の利用代金の一部を植樹活動に役立てるなど、現在も活動は続き、50年、100年先の未来へとつなげるため、野生動物から植樹の森を守る取り組みにも力を注いでいます。

 

 

 

 

 

サンゴの森を育てて里海を守る

『恩納もずく』が育つ沖縄県恩納村(おんなそん)。豊かな生態系を育み、もずくに必要な栄養分や酸素も生み出すサンゴが、地球温暖化による海水温上昇により危機に瀕しています。恩納村漁業協同組合では1990年代後半から、漁師・海人(うみんちゅ)らが自ら海に潜ってサンゴの植え付けを行い、海を守り育てています。

 

パルシステムもこの活動に2009年より参加。恩納村漁業協同組合と加工メーカーの(株)井ゲタ竹内とともに「恩納村美ら海産直協議会」を設立し、組合員との交流や、商品の利用代金の一部をサンゴの植え付けに活用するなどの取り組みを始めました。毎年約1000本のサンゴの植え付けをし、その数は2017年までに9300本となりました。2013年以降は植え付けしたサンゴでも産卵を確認しています。

 

 

 

 

 

ターゲット

14.1

2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

14.2

2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。

14.3

あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。

14.4

水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。

14.5

2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。

14.6

開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。

14.7

2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。

14.a

海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。

14.b

小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。

14.c

「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。